歯磨き粉は、虫歯予防や歯周病対策、ホワイトニング、知覚過敏の緩和など、目的に応じて適切なものを選ぶことが重要です。
しかし、市販されている多くの歯磨き粉の中から、どれを選べばよいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?
本記事では、歯医者がおすすめする本当に効果のある歯磨き粉5選を、用途別に詳しく解説します。また、歯磨き粉の正しい使い方や、より効果的な口腔ケアの方法についても紹介します。
自分に合った歯磨き粉を見つけ、毎日の歯磨きをより効果的にするための参考にしてください。
Contents
歯医者が教える!歯磨き粉の選び方

毎日の歯磨きでしっかり口腔ケアをするためには、自分に合った歯磨き粉を選ぶことが大切です。
ここでは、虫歯予防・歯周病対策・ホワイトニング・知覚過敏ケア・子ども向けの歯磨き粉の選び方を詳しく解説します。
虫歯予防に必要な「フッ素」の重要性
虫歯予防の観点から最も重要な成分が「フッ素」です。フッ素には、歯の再石灰化を促進し、虫歯菌が酸を作り出すのを抑制する効果があります。
厚生労働省もフッ素配合歯磨き粉の使用を推奨しており、日本小児歯科学会のガイドラインでも年齢ごとに適切なフッ素濃度が示されています。
フッ素濃度の目安は以下の通りです。
年齢 | 使用量 | フッ化物濃度 |
歯が生えてから2歳 | 1~2mm程度 | 900~1000ppmF |
3~5歳 | 5mm程度 | 900~1000ppmF |
6歳~成人(高齢者を含む) | 1.5cm~2cm程度(歯ブラシ全体) | 1,400~1,500ppmF |
特に、大人の場合は1400~1500ppmFの高濃度フッ素配合の歯磨き粉を使用することで、より効果的な虫歯予防が期待できます。
ただし、小さな子どもには誤飲のリスクがあるため、年齢に応じた濃度のものを選ぶことが重要です。
歯周病対策には「殺菌・抗炎症成分」がポイント
歯周病は歯を支える組織が炎症を起こす病気で、放置すると歯を失う原因になります。
歯周病予防のためには、プラーク(歯垢)の増殖を抑え、炎症を防ぐ成分が配合された歯磨き粉を選ぶことが大切です。
代表的な有効成分には以下のようなものがあります。
- 殺菌成分:塩化セチルピリジニウム(CPC)、トリクロサン、クロルヘキシジン(CHX)など
- 抗炎症成分:グリチルリチン酸、トラネキサム酸など
これらの成分が含まれた歯磨き粉を選ぶことで、歯茎の腫れや出血を防ぎ、健康な歯茎を維持しやすくなります。
ホワイトニングは「研磨剤の種類」に注目
ホワイトニング効果を求める場合は、歯の表面の着色汚れ(ステイン)を効果的に除去できる研磨剤が含まれている歯磨き粉を選ぶことがポイントです。
ただし、研磨剤の種類や配合量によっては歯を傷つけることもあるため、選び方が重要です。
研磨剤の種類と特徴は以下の通りです。
研磨剤の種類 | 特徴 |
ポリリン酸 | ステインを浮かび上がらせて落とす |
ポリエチレングリコール | ヤニやステインを除去する |
ハイドロキシアパタイト | エナメル質を補修しながら着色を落とす |
ホワイトニングを目的とする場合は、これからの成分が入った歯磨き粉を選ぶと汚れをしっかり落としてくれて、元の歯の白さに戻してくれます。
知覚過敏対策には「硝酸カリウム・乳酸アルミニウム」配合が◎
知覚過敏とは、冷たいものや甘いものを食べたときに歯がしみる症状のことを指します。
この症状は、エナメル質がすり減り、象牙質が露出することで引き起こされます。
知覚過敏を予防・改善するためには、以下の成分が配合された歯磨き粉を選ぶと効果的です。
- 硝酸カリウム:神経の興奮を抑え、しみる痛みを和らげる。
- 乳酸アルミニウム:象牙細管を封鎖し、刺激を遮断する。
- ナノハイドロキシアパタイト:エナメル質の修復を助け、知覚過敏を軽減する。
特に、知覚過敏用の歯磨き粉は即効性よりも継続使用による効果が期待できるため、長期間の使用が推奨されます。
子ども向けの歯磨き粉選び|低刺激&フッ素濃度がカギ
子どもの歯は大人の歯よりもエナメル質が薄く、虫歯になりやすい特徴があります。そのため、歯磨き粉選びでは、以下のポイントを重視することが大切です。
- フッ素濃度:6歳未満は900~1000ppm、6歳以上は1400~1500ppmが推奨される。
- 低刺激処方:発泡剤(ラウリル硫酸ナトリウム)が少ないものを選ぶと、子どもが嫌がらずに磨きやすい。
- 子どもが好むフレーバー:イチゴやグレープなど、子どもが楽しめる味のものを選ぶと歯磨き習慣が定着しやすい。
歯磨きの習慣を身につけることが何よりも大切なので、無理なく続けられる歯磨き粉を選びましょう。
子どもの場合は、うがいが出来なくても歯みがき粉は使用することが可能です。
歯みがき粉を飲み込んでしまうのが心配な方は、歯ブラシ後に軽くふき取ってあげるくらいで特に問題はありません。
以上のポイントを踏まえ、自分の口腔状態や目的に合った歯磨き粉を選ぶことが、健康な歯を維持するための第一歩となります。
歯医者が選ぶおすすめ歯磨き粉5選
歯磨き粉は、目的に応じて適切なものを選ぶことで、より効果的な口腔ケアが可能になります。
しかし、多くの種類があるため、どれを選べばよいか迷う方も多いのではないでしょうか?
この記事では、歯医者がおすすめする歯磨き粉5選を、虫歯予防・ホワイトニング・歯周病対策・知覚過敏ケア・子ども向けといった用途別に厳選して紹介します。
さらに、それぞれの特徴や使い方のコツも詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
①ルシェロホワイトプレミアム|ホワイトニング+知覚過敏ケア

ルシェロホワイトプレミアムは、歯の着色汚れを落としながら、歯本来の白さを取り戻すことを目的としたホワイトニング歯磨き粉です。さらに、知覚過敏を予防する成分も含まれており、美白ケアと口腔の健康維持を同時にサポートします。
一般的なホワイトニング歯磨き粉と異なり、研磨剤をほとんど含まず、弱アルカリ性ペーストがステイン(着色汚れ)を浮かせて落とします。さらに、エナメル質を傷つけることなく優しく汚れを除去する処方が特徴です。
特長
ルシェロホワイトプレミアムの最大の特長は、ナノ粒子化されたハイドロキシアパタイトとポリリン酸ナトリウムのW作用です。
- 弱アルカリ性ペーストが、酸性の飲食物による着色を浮かせて除去しやすくする
- ナノハイドロキシアパタイトがエナメル質の微細な傷を補修し、ツルツルの歯面を維持
- ポリエチレングリコール(PEG)400がタバコのヤニを溶かして落とす
- 乳酸アルミニウム配合で、象牙質の露出を防ぎ、知覚過敏を軽減
- 高濃度フッ素(1450ppm)を含み、歯の再石灰化を促進して虫歯を予防
研磨剤をほとんど含まないため、歯の表面を傷つけずに毎日使用できるのも大きなメリットです。
おすすめポイント
- 歯を傷つけずに美白ケアができるため、知覚過敏の人でも安心
- ナノハイドロキシアパタイトが微細な傷を埋め、着色しにくい歯へ導く
- タバコ・コーヒー・紅茶・ワインによる着色汚れに効果的
- 高濃度フッ素で虫歯予防も同時にできる
- グリーンシトラスの爽やかな香味で心地よい使用感
②チェックアップスタンダード|虫歯予防&コスパ最強

チェックアップスタンダードは、虫歯予防に特化した高濃度フッ素(1450ppm)配合の歯磨き粉です。フッ素が歯の表面に長くとどまる処方が施されており、歯科医院でも推奨されることが多い製品です。
低発泡・低研磨設計のため、毎日使いやすく、コストパフォーマンスにも優れています。
特長
この歯磨き粉の最大の特長は、フッ素の高滞留処方です。フッ素が歯の表面に長く残ることで、再石灰化を促進し、虫歯の進行を防ぎます。
さらに、低研磨性のソフトペーストが歯の隅々まで広がりやすく、歯や歯茎にやさしい設計になっています。
また、発泡を抑えた処方のため、泡立ちすぎず、長時間のブラッシングが可能です。
ミントの香味も控えめで刺激が少なく、子どもから大人まで使いやすいのも特長です。
おすすめポイント
- 高濃度フッ素(1450ppm)が再石灰化を促進し、虫歯予防に効果的
- フッ素の高滞留処方で、歯の表面に長くとどまりやすい
- 低発泡・低研磨処方で、歯や歯茎にやさしくしっかり磨ける
- ミントの香味が控えめで、子どもから大人まで使いやすい
- コストパフォーマンスが良く、継続しやすい価格帯
この歯磨き粉は、特に虫歯予防を重視する方や、フッ素をしっかり活用したい方におすすめです。
ただし、6歳未満の子どもにはフッ素濃度が高いため、使用を控えることが推奨されています。
③リペリオ|歯周病対策に特化

リペリオは、歯茎の健康をサポートし、歯周病の予防や進行抑制に特化した歯磨き粉です。
歯肉の活性化を促す成分が配合されており、歯茎が下がり始めた方や、歯周病の兆候が気になる方に適しています。
また、歯科専売品であり、多くの歯科医院で推奨されています。
特長
リペリオの最大の特長は、歯肉活性化成分「OIM加水分解コンキオリン」が配合されている点です。
この成分は、アコヤ貝の真珠層由来のタンパク質で、歯茎の細胞を活性化し、コラーゲンの生成を促進します。
これにより、加齢や歯周病で弱った歯茎の回復をサポートし、歯肉にハリと弾力を与えます。
さらに、塩化ナトリウムが血行を促進し、歯茎を引き締める効果を発揮。また、グリチルリチン酸などの抗炎症成分が含まれており、歯茎の腫れや出血を抑える働きがあります。
おすすめポイント
- 歯茎が下がり始めた方に最適(歯肉の再生をサポートし、健康な状態へ導く)
- 抗炎症成分が歯茎の炎症や腫れを軽減(歯周病の進行を抑制)
- 塩化ナトリウムが血行を促進し、歯茎を引き締める
- 泡立ちが少なく、歯茎マッサージに適したジェルタイプ
継続的に使用することで、歯茎の状態が改善し、歯周病のリスクを低減することができます。
特に、歯茎が下がり始めている人や、歯茎の腫れ・出血が気になる人におすすめの歯磨き粉です。
④チェックアップkomodo|子ども向けの虫歯予防

子どもの歯は大人に比べてエナメル質が薄く、虫歯になりやすいため、適切な歯磨き粉選びが重要です。
チェックアップkomodoは、子どもの歯を虫歯から守るために開発された低刺激&フッ素配合(950ppm)の歯磨き粉で、歯科医院でも推奨されることが多い製品です。
特長
チェックアップkomodoの最大の特長は、フッ素(950ppm)を配合し、虫歯の予防効果を高めていることです。
フッ素は歯の再石灰化を促進し、酸の生成を抑えることで虫歯の発生を防ぎます。
子どもの口腔環境に適した適正濃度であり、安全に使用できます。
また、ソフトペースト処方により、歯や歯茎にやさしく、泡立ちが少ないため、しっかりとブラッシングができるのも特徴です。歯磨きを嫌がる子どもでも長時間磨きやすい設計となっています。さらに、フッ素の滞留性を高める独自処方が採用されており、ブラッシング後も口腔内にフッ素が残りやすくなっています。
おすすめポイント
- フッ素950ppm配合で虫歯予防に効果的
- カチオン化セルロース配合でフッ素が歯に留まりやすい
- 低研磨性&ソフトペースト処方で歯や歯茎にやさしい
- 低発泡でしっかりブラッシングできるため、磨き残しが少ない
- ストロベリー・アップル・グレープの3種類のフレーバーで、子どもが楽しく歯磨きできる
チェックアップkomodoは、フッ素の効果を最大限に活かしながら、子どもの歯磨き習慣を無理なくサポートできる歯磨き粉です。子どもが歯磨きを嫌がる場合でも、好みのフレーバーを選ぶことで楽しく習慣化しやすくなります。
⑤アパシールド|知覚過敏を抑制

アパシールドは、知覚過敏の症状を軽減しながら、歯の健康を守るために設計された歯磨き粉です。
歯のエナメル質を補修し、外部からの刺激を遮断する成分を配合しており、冷たい飲み物や甘いものを摂取した際の「しみる」症状を防ぎます。
知覚過敏が気になる方はもちろん、歯を傷つけずに優しくケアしたい方にも適しています。
特長
アパシールドの最大の特長は、薬用ハイドロキシアパタイトが配合されていることです。
この成分は、歯の再石灰化を促進し、エナメル質を補修することで、知覚過敏の原因となる象牙質の露出を防ぎます。
さらに、硝酸カリウムが神経の過敏反応を抑えることで、知覚過敏による刺激を軽減します。
また、研磨剤を含まず、低刺激処方になっているため、歯の表面を傷つけることなく、毎日のブラッシングでやさしくケアできます。
さらに、シトラスミントの爽やかな香味で、使用後の口の中がすっきりと感じられるのも特徴の一つです。
おすすめポイント
- 薬用ハイドロキシアパタイトがエナメル質を補修し、歯を強化
- 硝酸カリウムが知覚過敏の症状を軽減し、しみるのを防ぐ
- 研磨剤を含まず、歯をやさしくケアできる低刺激処方
- 継続使用で歯の表面を滑らかにし、汚れが付きにくくなる
- シトラスミントの爽やかな香味で快適な使用感
知覚過敏の症状が気になる方や、歯をやさしく守りながら虫歯予防もしたい方におすすめの歯磨き粉です。
歯磨き粉の正しい使い方|効果を最大限に引き出す方法

歯磨き粉は、正しく使用することでその効果を最大限に発揮します。
適量を守り、適切なブラッシング方法を取り入れることで、虫歯予防や歯周病対策がより効果的になります。
ここでは、歯科医が推奨する歯磨き粉の使い方について詳しく解説します。
適量を守る|歯磨き粉は「米粒大」or「1cm」
歯磨き粉は多くつければ効果が高まるわけではありません。むしろ、過剰に使用すると泡立ちが多くなり、十分に磨かずに早めにすすいでしまう原因になります。
年齢や用途に応じた適量の目安は以下の通りです。
年齢・用途 | 適量の目安 |
---|---|
歯がはえてから2歳まで | 米粒大 |
3~5歳 | グリーンピース大 |
大人(一般的な虫歯予防) | 歯ブラシ全体(1.5~2cm) |
適量を守ることで、泡立ちすぎを防ぎ、長時間しっかり磨くことができます。
すすぎすぎない|フッ素を口内に残すのが重要
歯磨き後に何度も口をすすぐと、フッ素の効果が低下してしまいます。
フッ素は歯の表面にとどまることで、エナメル質を強化し、虫歯を予防する働きをします。
そのため、すすぎの回数は1~2回程度の少量の水で行うのが理想的です。
すすぎすぎないコツとして、以下の方法が推奨されます。
- コップ半分以下の水を使う(多すぎるとフッ素が流れやすくなる)
- ブクブクうがいを軽く1~2回するだけにとどめる
- 歯磨き後30分間は飲食を控える(フッ素をしっかり歯に定着させるため)
特に高濃度フッ素配合の歯磨き粉を使用する場合、すすぎの回数を減らすことで効果を最大限に引き出せます。
電動歯ブラシとの相性は?相性の良い使い方
電動歯ブラシを使用する場合、通常の歯磨き粉と同じものを使っても問題ありませんが、以下のポイントを意識するとより効果的に使用できます。
- 低発泡タイプの歯磨き粉を選ぶ(泡立ちが多いと磨きにくくなるため)
- 適量を守る(歯磨き粉のつけすぎは不要な摩擦を生む)
- ブラッシング圧をかけすぎない(電動歯ブラシは自動で動くため、強く押しつけると歯や歯茎を傷める)
- 歯1本ずつ丁寧に磨く(電動歯ブラシは小刻みに動かしながら歯に当てると効果的)
電動歯ブラシを使用する際は、振動や回転の動きに適した歯磨き粉を選び、軽い力で磨くことがポイントです。
歯間ブラシ・フロスと併用でさらに効果アップ
歯磨き粉を使用したブラッシングだけでは、歯と歯の間の汚れを完全に落とすことはできません。
歯間ブラシやデンタルフロスを併用することで、虫歯や歯周病の予防効果が向上します。
歯磨きと歯間清掃の順番は以下の通りです。
- デンタルフロスや歯間ブラシを使用して歯と歯の間の汚れを落とす
- 歯磨き粉をつけてブラッシングを行う
- 軽くすすぎ、フッ素を口内に残す
この順番でケアを行うことで、フッ素が歯と歯の間にも行き渡りやすくなり、虫歯予防の効果が向上します。
知覚過敏の人は「歯磨き粉+マウスウォッシュ」が◎
知覚過敏の症状がある場合は、知覚過敏用の歯磨き粉とマウスウォッシュを併用すると、より効果的に症状を抑えられます。
知覚過敏を抑えるためには、以下のポイントを意識するとよいでしょう。
- 硝酸カリウムや乳酸アルミニウムが配合された歯磨き粉を使用する(歯の神経を鎮静化し、刺激を遮断する)
- 歯磨き後に知覚過敏用のマウスウォッシュを使う(口内のフッ素濃度を高め、歯をコーティングする)
- ブラッシング時はやさしく磨く(強く磨くと歯の表面を傷つけ、症状が悪化することがある)
知覚過敏用のマウスウォッシュには、フッ素配合のものが多く、歯磨き後に使用することで歯の再石灰化を促進し、知覚過敏の症状を軽減する効果が期待できます。
自分に合った歯磨き粉を使用して健康な歯を維持しましょう!
自分に合った歯磨き粉を選ぶことは、口腔の健康を守る第一歩です。本記事では、虫歯予防・歯周病対策・ホワイトニング・知覚過敏対策などの目的別に、歯医者がおすすめする歯磨き粉5選を紹介しました。
また、歯磨き粉の正しい使い方や、電動歯ブラシやフロスの活用方法についても解説しました。これらを実践することで、より効果的なオーラルケアが可能になります。
もし、自分に合った歯磨き粉がわからない場合や、口腔の健康に不安がある場合は、ぜひ当院へご相談ください。
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