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スポーツで歯が折れた時の応急処置と治療法とは?予防策も解説

スポーツ中に歯が折れる事故は、誰にでも起こり得る予期せぬトラブルです。
しかし、適切な対応や予防策を知っておくことで、被害を最小限に抑え、迅速に回復することができます。
この記事では、スポーツ中に歯が折れた場合の応急処置や治療方法、予防策について詳しく解説します。
スポーツで歯が折れてしまった方や今後トラブルを防ぎたいと考えている方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

折れる原因とリスク

アメフトのタックルシーン

特に激しい動きや接触プレーが伴うスポーツでは、口腔内への強い衝撃が発生し、歯や歯茎が損傷することがあります。
こうした怪我を予防するためには、まず歯が折れる原因やリスクを理解することが重要です。
ここでは、スポーツ中の歯の怪我が発生しやすい原因について解説します。

スポーツ中の衝突や転倒が原因で歯が折れるケース

ラグビーやサッカーのように接触プレーが多いスポーツでは、顔や口周辺への強い衝撃が発生する可能性があります。
また、野球やテニスのような道具を使用するスポーツでは、ボールやラケットが顔に当たることによる怪我も少なくありません。
衝突や転倒が起きた際、次のような状況で歯が損傷しやすくなります。

  • 顔面保護具(ヘルメットやマウスガードなど)を装着していない場合
  • 地面や床が硬い競技環境(体育館、コンクリート)でプレイしている場合
  • チームスポーツで接触が多いポジション(例:ゴールキーパーやディフェンダー)にいる場合

こうしたリスクを理解することで、事故発生時の対策をとりやすくなります。

スポーツにおける歯の重要

歯は食事や会話に使われるだけでなく、スポーツにおいても重要な役割を果たしています。
例えば、歯をしっかりと食いしばることで体幹を安定させることがでるという論文も発表されています。
スポーツにおける歯の役割を認識することで、怪我の予防や適切な対応への意識を高めることができます。

口の中を怪我した時にまずやるべき3つの行動

歯が砕けた様子

スポーツ中に口の中を怪我する事故が起きたとき、適切な対応を取ることで治療の成功率が大きく変わります。
特に折れた歯を再生できるかどうかは、初期対応が迅速かつ正確であるかにかかっています。
この章では、歯が折れた際にすぐ行うべき3つの重要な行動について具体的に解説します。

⓪頭を打ってないか確認する

口のなかを怪我してしまった場合、頭も強く打っている可能性があります。口の中の怪我の応急処置も必要ですが、まずは頭を打ったことによる脳震盪などの症状がないかどうかを確認しましょう。脳震盪などの症状がある場合は、すぐに医療機関を受診するようにしたください。

①折れた歯や破片を探し、保管する方法

折れた歯やその破片を保管することは、治療においてとても重要です。
再接着や再植手術のために、可能な限り破片を保存することが大切です。
以下の手順で歯や破片を探し、正しく保管してください。

  1. 破片を慎重に探す:怪我をした場所や地面を確認し、歯の破片を丁寧に拾いましょう。
  2. 歯を直接触らない:歯の根の部分(歯根)は細菌に弱く、歯を戻す時に元に戻ってくれるかどうかのポイントとなる歯根膜という細胞が多く存在するため、触れる場合は必ず歯冠(歯の白い部分)を持つようにしてください。
  3. 洗わない・乾燥させない:拾った歯は絶対に洗わないようにしてください。無理に洗ってしまうと予後に大きく影響する歯根膜という細胞を傷つけてしまいます。また、歯根膜を保存するために歯が乾燥しないように保存してください。歯や破片は保存液、牛乳、または生理食塩水に浸して保管します。これにより、歯の細胞が一定時間生存する可能性が高まります。ティッシュや乾燥した状態での保管は避けましょう。

②受傷部位を清潔に保ち・止血する

口の中を怪我した場合、傷口や口内を清潔に保つことも重要です。
放置すると細菌感染が起こり、完治が難しくなる場合があります。
以下の手順を参考にしてください。

  1. 口を水またはうがい薬でゆすぐ:温かい水で軽く口をすすぎ、血液や汚れを洗い流します。強くうがいをすると出血が悪化する場合があるため、優しく行いましょう。
  2. ガーゼや清潔な布で圧迫止血:出血が止まらない場合は、ガーゼを患部に当て、軽く圧迫して止血します。10分程度押さえることで、多くの場合出血は止まります。

これらの応急処置を行うことで、感染や腫れを最小限に抑えられます。
ただし、これらの処置で痛みがなくなったり、止血したとしても必ずすぐに歯科医院を受診するようにして下さい。

③歯科医院への速やかに連絡する

応急処置を行った後は、できるだけ早く歯科医院を受診することが重要です。
予約を入れる際のポイントは、緊急性を伝えるため、「歯が折れた」「血が止まらない」などの具体的な症状を明確に伝えることが重要です。
折れた歯は時間とともに細胞が死滅するため、早急な対応が求められます。できるだけ早く歯科医院を受診し、治療を受けるようにしましょう。
受診が早ければ早いほど治療の予後がよくなります。

応急処置が遅れた場合のリスク

黄色いシャツを着たサッカーボールを持っている少年が両手で顔を覆って俯いている様子

歯が折れた際に迅速に対応しないと、見た目や機能、さらには健康面にまで深刻な影響を及ぼすリスクがあります。
ここでは、神経損傷や感染症、治療の長期化、スポーツパフォーマンスへの悪影響について詳しく解説します。

神経損傷や感染症の可能性

歯が折れて神経に近い部分まで損傷している場合、適切な処置を行わないと神経が死んでしまう可能性があります。
神経が露出した状態で放置すると、細菌が侵入しやすくなり、感染を引き起こすリスクが高まります。
神経が損傷すると激しい痛みを伴い、放置すると歯髄炎から根尖性歯周炎に進行することがあります。
この状態が進行すると、顎の骨や周辺組織にまで炎症が及び、顔が腫れたり発熱したりするなど、全身に影響を及ぼすこともあります。

また、知らないうちに神経が死んでしまい歯が変色してしまったりすることもあります。
このような場合、根管治療(神経の処置)が必要となってしまうケースが多くみられます。

スポーツパフォーマンスへの影響

歯が折れたままの状態で放置すると、スポーツパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。
特に前歯の損傷は、見た目の印象に大きな影響を与えるため、心理的なストレスを感じることが少なくありません。

また、歯をしっかりと噛みしめることができないと、筋力や体幹の安定性に影響を及ぼします。
当院での症例で、歯が欠けてしまったことで歯を噛み合わせると強い痛みが生じてプレーに影響が出てしまったケースがありました。

歯を守るための予防策

ボクサーがマウスガードをはめようとしている様子

スポーツ中の事故で歯が折れるリスクを軽減するためには、事前の予防策を講じることが非常に重要です。
適切な対策を実践することで、怪我のリスクを大幅に下げ、安心して競技を楽しむことができます。
ここでは、スポーツ用マウスガードの活用、歯列矯正による歯並びの改善について詳しく解説します。

マウスガードの効果と選び方

スポーツ中の歯の怪我を防ぐ最も効果的な方法の一つが、マウスガード(スポーツ用マウスピース)を装着することです。
マウスガード(スポーツ用マウスピース)は衝撃を分散させることで口の中の怪我を軽減させる効果があります。

マウスガード(スポーツ用マウスピース)には既製品タイプとカスタムタイプの2種類があります。
既製品タイプはスポーツ量販店やネット通販で手軽に購入できますがフィット感が低いのに対し、歯科医院で作成するカスタムタイプは口に完全にフィットするため、安全性と快適性に優れています。
競技者には、カスタムタイプを選ぶことが推奨しています。

マウスガードの種類や効果についてはこちらの記事でまとめていますので、ぜひご覧ください。

マウスピースの種類と効果を徹底解説!最適な選び方と手入れ方法を解説

歯列矯正で衝撃に強い歯並びを作る

歯並びが悪いと、一部の歯に衝撃が集中しやすくなり、怪我のリスクが高まります。
特に出っ歯のような歯並びの場合、転倒時に前歯が直接物に当たりやすいため折れやすくなります。
歯列矯正を行うことで、歯に均等に力がかかるようになり、衝撃に強い歯並びを形成することが可能です。

また、歯列矯正によって見た目が改善されることで自信を持って笑顔になれますし、歯の清掃がしやすくなり、虫歯や歯周病の予防にもつながります。
ワイヤー矯正やマウスピース矯正といった選択肢がありますが、スポーツを行う方には競技中の邪魔になりにくいマウスピース矯正が人気です。

スポーツ中に歯が折れたときはスポーツ歯科へ受診しよう!

スポーツ中に歯が折れた場合の対応と治療は、早急で適切な行動が何よりも重要です。
この記事を通じて、応急処置の手順や治療方法、予防策、そして信頼できる歯科医院の選び方について理解を深めていただけたのではないでしょうか。
スポーツを楽しむためには、歯の健康を守ることも欠かせません。
もし歯の怪我でお困りの際や、予防策についてさらに詳しく知りたい場合は、ぜひ当院までご相談ください。
大切な歯を守り、安心してスポーツを続けるためのサポートを全力でお手伝いさせていただきます。

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