子供の虫歯は、親御さんにとって大きな心配事の一つです。
乳歯の健康を守ることは、単に一時的な問題を解決するだけでなく、永久歯の健康や子供の成長にも深く影響します。
本記事では、子供の虫歯に関する基礎知識や原因、効果的な予防法、そして万が一虫歯ができた場合の対応方法を解説します。
子供の歯を健康に保ち、笑顔を守るための第一歩としてぜひお役立てください。
Contents
子供の虫歯とは?基本を知ろう

「乳歯だからいずれ抜ける」と軽く考えられがちですが、実際には子供の成長や健康に大きな影響を与える可能性があります。
乳歯と永久歯はどのように異なるのか、虫歯が進行するとどうなるのかを知ることで、早めのケアや予防策を取ることができます。
ここでは、子供の虫歯に関する基本的な知識をわかりやすく解説します。
乳歯と永久歯の違い
乳歯と永久歯には大きな違いがありますが、どちらも子供の成長において非常に重要な役割を果たします。
乳歯は生後6か月頃から生え始め、約3歳までに20本が生え揃います。
これに対して、永久歯は6歳頃から生え始め、12~13歳頃までに28本が揃います(親知らずを除く)。
乳歯は永久歯に比べてエナメル質や象牙質が薄く、構造的に虫歯になりやすい特徴があります。
また、乳歯は子供の咀嚼(そしゃく)や発音、顎の発達において重要な役割を担います。
乳歯が虫歯になるとその影響が永久歯にも及ぶことがあるため、乳歯を虫歯から守ることは永久歯を守ることにも直結します。
さらに、乳歯は抜けるからといって軽視されがちですが、虫歯が進行して歯の根元に炎症が起きると、これが永久歯の発育に悪影響を及ぼす場合があります。
このような理由から、乳歯のケアは永久歯が生えるまでの基盤作りとして重要視されています。
こちらの記事では子供の歯の生え方について解説しておりますので、ぜひご覧ください。
虫歯が進行するとどうなるのか?
虫歯が進行すると、その影響は子供の生活全般に広がります。
初期の虫歯では目に見える症状がほとんどなく、痛みも感じにくいことが多いですが、進行するにつれて以下のような問題が発生します。
- 歯が欠けたり黒ずんだりする
見た目に影響が出るため、子供が笑顔を見せることをためらうなど、心理的な負担が増えることがあります。 - 痛みや腫れ
虫歯が神経に達すると強い痛みを引き起こし、食事や睡眠に支障をきたします。また、歯ぐきが腫れることもあります。 - 食事の制限
痛みのために硬いものや冷たいものが食べられなくなり、栄養バランスの乱れにつながることがあります。 - 健康全般への影響
虫歯菌が血流に乗ることで、体全体に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、免疫力の低下や、まれに心臓や腎臓に影響が及ぶケースも報告されています。 - 永久歯への影響
乳歯の虫歯が重症化すると、後から生えてくる永久歯が変色したり、歯並びが乱れたりする原因となることがあります。
これらの進行を防ぐためには、早期発見と適切な治療が欠かせません。
乳歯の虫歯は放置すると短期間で進行するため、子供の歯を定期的にチェックし、症状が見つかった場合は速やかに歯科医院を受診することが重要です。
子供が虫歯になりやすい理由

虫歯は「生活習慣病の一つ」とも言われ、毎日の生活習慣や体の特性によって発生リスクが大きく変わります。
特に子供は、大人に比べて虫歯になりやすい環境や条件を多く抱えています。
それは乳歯の構造や習慣だけでなく、周囲との接触による影響も含まれます。
ここでは、子供が虫歯になりやすい理由について詳しく説明します。
エナメル質が薄い乳歯の特性
乳歯は永久歯と比べてエナメル質が約半分ほどの厚みしかなく、歯の表面を保護する能力が低いのが特徴です。
そのため、虫歯菌が作り出す酸によるダメージを受けやすく、初期段階から急速に進行しやすい傾向があります。
また、乳歯は象牙質も薄く、虫歯が歯の中心部にある神経(歯髄)に達するまでの時間が短いことも問題です。
実際、厚生労働省の調査では、5~11歳の子供の約15~35%が何らかの虫歯を経験しているというデータがあります。(出典:厚生労働省 令和4年歯科疾患実態調査結果の概要)
乳歯が虫歯になると、永久歯が生えるスペースが確保できなくなることや、顎の成長に悪影響を及ぼすこともあるため、特に注意が必要です。
ダラダラ食べや甘い飲み物の影響
ダラダラと長時間食べ続ける「ダラダラ食べ」は、口内環境を常に酸性に保つ原因となり、虫歯のリスクを大幅に高めます。
通常、食事の後に唾液が酸を中和して歯を保護する時間が必要ですが、ダラダラ食べを続けるとこの回復時間が得られず、虫歯が進行しやすくなります。
さらに、ジュースや甘いお菓子を頻繁に摂取することも、虫歯菌が活発になる原因です。
砂糖は虫歯菌のエサとなり、酸を大量に生成するため、乳歯のエナメル質をどんどん溶かしてしまいます。
例えば、「食事は1日3回、間食は1回程度に抑える」「飲み物は水やお茶を中心にする」といったルールを家庭で取り入れることで、ダラダラ食べや砂糖の摂取量を管理することができます。
これにより、虫歯のリスクを大きく減らせます。
子供の虫歯を予防する方法

虫歯を予防するためには、毎日の生活の中でできる工夫が欠かせません。
特に子供の場合、大人に比べて歯が虫歯になりやすい特性があるため、予防策を早い段階で習慣化することが重要です。
ここでは、毎日の歯磨きからフッ素やキシリトールの活用、間食の管理に至るまで、具体的な虫歯予防の方法をご紹介します。
毎日の歯磨きの重要性と正しい磨き方
子供の虫歯予防において、毎日の歯磨きは最も基本的で効果的な方法です。
歯の表面に付着したプラーク(歯垢)は虫歯菌の温床となります。
このプラークを確実に除去するためには、正しい歯磨きの習慣を身につけることが重要です。
子供自身が歯を磨けるようになるのは5~6歳頃と言われていますが、小学生の間は親の仕上げ磨きが必要です。
特に乳歯の奥歯や歯と歯の間は汚れが溜まりやすいので、丁寧に磨きましょう。
柔らかめの歯ブラシを使用し、軽い力で歯と歯ぐきの境目を優しく磨くことが効果的です。
また、歯磨きのタイミングも大切です。食後すぐに磨くことで、虫歯菌が酸を作り始めるのを抑えることができます。
さらに、夜の歯磨きは特に重要です。就寝中は唾液の分泌が減少し、口内が酸性になりやすいため、寝る前の丁寧な歯磨きが虫歯予防に大きな役割を果たします。
日本小児歯科学会でも、歯磨きは1日2回を推奨しており、「就寝前を含む1日2回歯みがきを行う。」と【4学会合同のフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用法】の中で書かれています。
「フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法について」4学会(日本小児歯科学会・日本口腔衛生学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学会)合同の提言が発表されました。(2023年1月)
当院では子供用の歯ブラシとしてCURAPROXをおすすめしています。
歯みがきを嫌がっていた子が、CRAPROXの歯みがきを使うようになって嫌がらずにさせてくれるようになった。など嬉しい声をたくさん頂いています。
特徴や使用感についてまとめていますので、ぜひご覧ください。
フッ素の効果的な活用
フッ素は歯のエナメル質を強化し、虫歯の発生を抑える効果があります。
家庭ではフッ素配合の歯磨き粉を使用することで、簡単に虫歯予防を取り入れることができます。
歯磨き粉を使う際は、子供の年齢に応じた適量(米粒大やエンドウ豆大程度)を守りましょう。
また、歯科医院でのフッ素塗布はさらに高濃度のフッ素を使用できるため、家庭でのケアを補完する有効な手段です。
特に虫歯になりやすい子供には定期的なフッ素塗布をおすすめします。
子供を歯医者に連れて行くべき理由

歯医者は虫歯の治療だけでなく、子供の歯の健康全般を守るために重要な役割を果たします。
親が定期的に子供を歯医者に連れて行くことで、虫歯を未然に防ぐだけでなく、歯並びや顎の発達の問題にも早期に気づき、適切に対応することができます。
ここでは、歯医者に通うことの具体的なメリットについて解説します。
虫歯予防だけでなく歯並びや顎の発達もチェック
子供の歯医者通いは、単なる虫歯予防にとどまりません。
乳歯は永久歯の土台となるため、乳歯が健康で正しい位置にあることが、後の歯並びや顎の発達に大きな影響を与えます。
歯並びが悪い場合、咀嚼(そしゃく)が不十分になるだけでなく、発音や顔の形にも影響が出ることがあります。
例えば、歯が早く抜けたり、逆に抜けるのが遅かったりすると、永久歯が正しい位置に生えずに歯並びが乱れる原因となります。
歯医者では、子供の歯の生え変わり状況や顎の成長具合を定期的にチェックし、必要に応じて矯正治療のタイミングをアドバイスしてくれます。
さらに、顎の成長に異常がある場合でも、早い段階で対応することで問題を最小限に抑えることが可能です。
歯並びや顎の発達のチェックは、成長期の子供にとって特に重要なポイントです。
当院では、子供の顎の位置や咬み合わせの改善に対して機能的マウスピース型矯正(プレオルソ)を推奨しています。
こちらの記事ではプレオルソの特徴についてまとめていますので、ぜひご覧ください。
早期治療の重要性
子供の歯の問題は、早期に治療を開始することで簡単に改善できる場合が多いです。
しかし、放置してしまうと症状が悪化し、治療が難しくなることがあります。
例えば、初期段階の虫歯であれば、削らずにフッ素塗布だけで治療が済む場合もありますが、進行すると神経に達し、痛みを伴う治療が必要になることもあります。
また、子供の虫歯を放置すると、以下のようなリスクが生じます。
- 永久歯への影響:乳歯が虫歯になると、その下で形成中の永久歯にも影響を与えることがあります。
- 食事や成長への支障:痛みや不快感で食事が制限され、栄養不足になる可能性があります。
- 全身の健康問題:重度の虫歯が感染症を引き起こし、身体全体に悪影響を及ぼすこともあります。
さらに、早期治療は子供の心理的な負担を軽減することにもつながります。
虫歯が進行してしまうと治療が複雑化し、歯医者に対する恐怖心が強まることがありますが、簡単な治療で済む場合は、歯医者に対してポジティブな印象を持つことができます。
親が気をつけたい習慣と環境

子供の虫歯予防は、親のサポートが大きな鍵を握っています。
日々の生活習慣や家庭内の環境が、子供の歯の健康に直接影響を与えるからです。
親ができる対策を知り、子供が自然と虫歯予防に取り組めるような環境を整えることが大切です。
この章では、親として意識したい習慣や環境作りのポイントを解説します。
食器の共有で虫歯がうつる?
食器の共有についてはネット上でも様々な情報が溢れています。
日本小児歯科学会では、食器の共有による虫歯菌の感染については科学的根拠は強くないという声明を出しています。
親から子への口腔内細菌の伝番は食器の共有以前から起こっており、食器の共有のみで起こるものではないので、必要以上に神経質になる必要はありません。
【参考文献】
・da Silva Bastos VA et al., Mother-to-child transmission of Streptococcus mutans: a systematic review and meta-analysis. J Dent. 2015 Feb;43(2):181-91.
・Childers NK et al., Association Between Early Childhood Caries and Colonization with Streptococcus mutans Genotypes From Mothers. Pediatr Dent. 2017 Mar 15;39(2):130-135.
子供が楽しく予防できる環境作り
虫歯予防は子供自身が主体的に取り組めるようになることが理想です。
そのためには、親がサポートするだけでなく、子供が楽しく予防に取り組める環境を作ることが重要です。
例えば、以下の工夫を取り入れてみてください。
- 楽しい歯磨きタイムを演出する
子供が好きなキャラクターがデザインされた歯ブラシや歯磨き粉を使うと、歯磨きに対する抵抗感を減らすことができます。また、歯磨きの歌や動画を活用するのも効果的です。 - 親子で一緒に取り組む
親が子供と一緒に歯磨きをすることで、歯磨きが楽しい習慣となります。また、親が正しい歯磨きの手本を見せることで、子供が自然と学ぶことができます。 - 歯医者へのポジティブなイメージを育てる
歯医者を怖がらないようにするためには、定期検診を通じて「歯医者は怖いところではない」と感じさせることが大切です。歯医者での予防措置が「ご褒美」となるような工夫をすると、子供も進んで通うようになります。 - 予防をゲーム感覚で行う
歯磨きの時間をタイマーで測り、「何分間しっかり磨けたらシールを貼る」といったルールを作ることで、子供のモチベーションを高めることができます。
子供が楽しく予防に取り組める環境を整えることで、自然と虫歯予防の習慣が身に付きます。
親が積極的に関与し、子供の自主性を尊重することで、健康な歯を維持するための基盤を作りましょう。
虫歯になってしまったら?治療法と対応

どれだけ予防に努めていても、子供の虫歯が完全に防ぎきれないこともあります。
虫歯は放置すると進行し、痛みだけでなく歯の機能や永久歯への影響も引き起こします。
しかし、適切な治療を受ければ、歯の健康を取り戻すことが可能です。
この章では、初期虫歯から重度の虫歯まで、それぞれの状態に応じた治療法について解説します。
初期虫歯の対応
初期虫歯とは、歯の表面に白っぽい斑点が見られる状態で、エナメル質がわずかに溶け始めている段階を指します。
この時点では痛みを感じることはほとんどなく、虫歯が進行していないため、削らずに治療することが可能です。
最も一般的な対応は、フッ素塗布です。フッ素にはエナメル質を強化し、歯の再石灰化を促す効果があります。
歯科医院で高濃度のフッ素を塗布することで、初期虫歯の進行を防ぎ、自然治癒を促します。
また、毎日のケアの見直しも必要です。歯磨きの回数や方法を改善し、虫歯菌が活動しにくい環境を作ることで、再発を防ぎます。
特に、フッ素配合の歯磨き粉を使用すると、自宅でのケア効果がさらに高まります。
この段階で対応すれば、虫歯を簡単に改善できる可能性が高いため、早めの受診が重要です。
軽度~重度の虫歯治療方法
虫歯が進行し、歯の表面に穴が開いたり、痛みを伴う場合には、治療法が異なります。
虫歯の進行度に応じた一般的な治療方法を以下にまとめました。
- 軽度の虫歯
歯の表面に小さな穴が開いた程度であれば、虫歯部分を削り取り、その部分を詰め物(レジン)で補修します。レジンは歯と同じ色をしており、見た目にも自然です。 - 中程度の虫歯
虫歯が象牙質に達している場合、より多くの歯を削る必要があります。この際、詰め物のほかに銀歯などの材質が選ばれることがあります。 - 重度の虫歯
虫歯が神経に達した場合、痛みが激しくなるため、神経を抜く治療(根管治療)が必要です。根管治療では、感染した神経を除去し、その後に根の中を消毒して充填します。歯の形を補うために乳歯冠(被せ物)を装着することが一般的です。 - 歯の根だけが残った場合
虫歯がさらに進行し、歯が崩れて根だけが残った状態では、歯を抜かなければならないことがあります。永久歯が生えるスペースを確保するため、乳歯の早期喪失を防ぐ処置や矯正の計画を立てることが重要です。
虫歯の治療は、症状が軽いうちほど簡単で、子供の負担も少なくなります。
親が早期に異常を見つけ、歯科医院で適切な治療を受けることで、子供の歯を守ることができます。
また、治療後に歯科医院で定期検査を受けることも虫歯再発防止の鍵となります。
子供の虫歯予防と治療は当院にお任せください
子供の虫歯予防と治療は、親御さんのサポートが欠かせません。
この記事を通じて、虫歯の原因や予防策、治療法について理解を深めていただけたのではないでしょうか。
早期発見と適切な対応が、子供の健康な歯を守る鍵です。
当院では、虫歯予防から治療まで、親御さんと一緒にお子様の健康な歯を育むお手伝いをしています。
気になることや疑問があれば、ぜひ当院にご相談ください。
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