スポーツに日々励んでいる皆様、ご自身の歯の健康について考えたことはありますか?
日々のトレーニングや競技中の集中は、知らず知らずのうちに歯へ大きな負担をかけていることがあります。
実際に、スポーツをされる方はお口の中にトラブルを抱えやすいというデータもあり、大きな問題となっています。
歯や噛み合わせの状態は、お口の中だけでなく、全身のバランスや集中力にも影響を与え、スポーツのパフォーマンスを左右する重要な要素となり得ます。
この記事では、なぜスポーツで歯がダメージを受けボロボロになってしまうのか、その主な原因を詳しく解説します。
さらに、歯のトラブルがパフォーマンスに与える影響や、大切な歯を守りながら競技力を向上させるための具体的な予防策について、専門的な観点からご紹介します。
Contents
スポーツ選手の歯がボロボロになる3つの主な原因

なぜ、健康的なイメージのスポーツ選手が歯のトラブルを抱えやすいのでしょうか。背景には、スポーツ特有の3つの大きな原因が潜んでいます。
原因① 酸蝕症(さんしょくしょう)
酸蝕症とは、スポーツドリンクなどに含まれる「酸」によって、歯の表面が徐々に溶かされてしまう状態です。
虫歯とは異なり、痛みなく進行するため注意が必要です。
特に、パフォーマンス維持のためにスポーツドリンクを少量ずつ飲み続けることや、激しい運動による口呼吸で口内が乾燥することは、歯が酸にさらされる時間を長くしてしまい、酸蝕症の大きなリスクとなります。
この状態を防ぐためには、酸性の飲料を摂取した後に水で口をゆすぐなどの方法が紹介されることが多いですが、歯の細かい溝の部分まで洗い流すことは不可能で、根本的な解決方法はスポーツドリンクを控えることになります。
原因② 食いしばり・歯ぎしり
スポーツで力を入れる瞬間、私たちは無意識に歯を強く食いしばっています。
この力は非常に強く、健康な歯であっても、日々の積み重ねによってひび割れや摩耗(すり減り)を引き起こす原因となります。
また、この過度な負担は歯や顎だけに留まらず、顎関節症や、原因不明の頭痛・肩こりといった全身の不調につながることも少なくありません。
この強力な力から歯と体を守るためには、衝撃を和らげるクッションの役割を果たす、マウスガード(スポーツ用マウスガード)の装着が極めて有効な手段となります。
原因③ 外傷
ラグビーや格闘技はもちろんのこと、野球、サッカーでの衝突や、個人競技での転倒など、あらゆるスポーツには歯を折ったり、失ったりする外傷のリスクが常に存在します。
一度失った歯は二度と元には戻らず、その歯を補うための治療には多くの時間と費用がかかってしまいます。
不意の事故による衝撃から大切な歯を守るためにも、スポーツマウスピースを装着することが、最も確実で安心な予防策と言えるでしょう。
ボロボロの歯がスポーツのパフォーマンスに与える悪影響

「たかが歯の問題」と侮ってはいけません。口の中のトラブルは、確実にあなたのパフォーマンスを蝕みます。
ここでは、ボロボロの歯がスポーツに与える悪影響について解説します。
集中力の低下
虫歯の痛みや知覚過敏といった症状は、たとえ軽度でも常に気になる不快感となり、集中力を著しく削ぎます。
特に、コンマ数秒の判断が求められる競技では、決定的な場面でのミスにつながりかねません。
また、噛み合わせの不調は体の歪みを引き起こし、効率的な体の使い方ができなくなるほか、夜間の歯ぎしりは睡眠の質を低下させ、疲労蓄積の原因にもなります。
身体能力の低下
正しい噛み合わせは頭の位置を安定させ、体幹のブレを抑える役割があります。
噛み合わせがずれていると体の重心が不安定になり、バランス能力が低下します。
さらに、力を入れる際に歯を食いしばることで全身の筋肉が連動しますが、噛み合わせが悪いと力の伝達がスムーズに行われず、瞬発力や筋力を100%発揮できなくなると考えられています。
多くの一流アスリートが噛み合わせの重要性に着目し、歯科医と連携しています。
怪我のリスク増加
過度な食いしばりによる顎周りの筋肉の緊張は、首、肩、そして腰へと連鎖し、全身の柔軟性を奪います。
体が硬くなれば、それだけ肉離れや捻挫といった怪我のリスクが高まります。
また、体のバランス感覚が低下することで、予期せぬ転倒をしたり、踏ん張りが効かずに体勢を崩したりするリスクも増加します。
歯がボロボロになるのを防ぐマウスガードの効果

これまで述べたリスクから歯を守り、さらにパフォーマンス向上まで期待できるのが「スポーツマウスピース(マウスガード)」です。
ここでは、マウスピースの選び方や効果について解説します。
マウスピースとは?種類と選び方
スポーツマウスピースには、市販品と歯科医院で作るオーダーメイド品があります。
- 市販品: 手軽で安価ですが、適合性が低く、外れやすい、呼吸がしにくいといったデメリットがあります。
- オーダーメイド: 費用はかかりますが、一人ひとりの歯型に合わせて精密に作製するためフィット感が抜群で、安全性も効果も格段に高くなります。
| 種類 | メリット | デメリット | こんな人におすすめ |
| 市販品 | ・安価 ・手軽に入手できる | ・外れやすい、ずれる ・適合性が低い ・保護能力が低い | ・とりあえず試したい方 ・ごくたまにしかスポーツをしない方 |
| オーダーメイド | ・適合性が非常に高い ・外れにくい ・保護・パフォーマンス向上効果が高い | ・比較的高価 ・作製に時間がかかる | ・本格的にスポーツに取り組む全ての方 ・安全性とパフォーマンスを重視する方 |
本格的にスポーツに取り組むなら、専門家である歯科医師に相談し、自分だけのオーダーメイドマウスピースを作製することが最良の選択です。
競技の特性に合わせて素材の厚みや硬さを調整でき、安全性と機能性を最大限に高められます。
マウスピースが歯を守るメカニズム
マウスピースが歯を守る仕組みは、主に2つの効果に基づいています。
第一に、外部からの強い衝撃をその弾力で吸収・分散し、歯が折れたり抜けたりするリスクを大幅に軽減します。
そして第二に、強い食いしばりが加わった際にクッションの役割を果たし、歯や顎にかかる過度な負担を和らげます。
マウスピースがパフォーマンスを向上させる理由
さらに、マウスピースは歯を守るだけでなく、スポーツパフォーマンスそのものを向上させる効果も期待できます。
適切に調整されたマウスピースは、噛み合わせを安定させ、体の重心のブレを少なくすることで体幹の安定に貢献します。
また、しっかりと噛みしめることができる安心感や、顎周りの余計な筋緊張が解けることで、プレーへの集中力が高まります。
特にオーダーメイド品は呼吸のしやすさも考慮して設計されるため、持久力の向上につながるケースもあります。
マウスピース使用時の注意点とメンテナンス
マウスピースの効果を最大限に引き出し、長持ちさせるためには、日々の取り扱いが重要です。
装着する際は、指でしっかりと歯全体に押し付けてフィットさせてください。
使用後は、流水と柔らかい歯ブラシなどで優しく洗浄し、変形の原因となる熱湯は避けましょう。
洗浄後はよく乾かし、通気性の良い専用ケースで保管してください。
また、噛み合わせは変化することがあるため、定期的に歯科医院でマウスピースの適合状態をチェックしてもらうことも大切です。
スポーツで歯をボロボロにしないための予防策

マウスピースの活用と合わせて、日々のセルフケアも歯を守るためには不可欠です。
ここでは、歯の健康を守るための習慣やケアについて解説します。
食生活の改善
スポーツドリンクなどを飲んだ後は、お口の中に残った酸を洗い流し、歯が溶けやすい危険な状態をリセットするために、水で口をゆすぐ習慣をつけましょう。
普段の水分補給は水やお茶を中心とすることが理想です。
また、口内が酸性になる時間が長くなる「ながら食べ」や「ダラダラ飲み」は避けることが大切です。
唾液による自浄作用が追いつかなくなり、歯の健康を大きく損なう原因となるため、食事や補食は時間を決めて摂るように心がけましょう。
適切なオーラルケア
日々の歯磨きは、力を入れすぎず丁寧に行うことが基本です。
強く磨きすぎると、かえって歯や歯茎を傷つけてしまう原因になります。
そして、歯ブラシだけでは届かない歯と歯の間の汚れは、虫歯や歯周病の主な原因となるため、デンタルフロスや歯間ブラシを毎日併用することが欠かせません。さらに、歯の再石灰化を促し歯質を強くするフッ素配合の歯磨き粉などを活用することで、酸に負けない丈夫な歯を育て、予防効果をより一層高めることができます。
定期的な歯科検診の重要性
スポーツをする方は歯のトラブルリスクが高いため、自覚症状がなくても3〜4ヶ月に一度は定期検診を受けることを強く推奨します。
痛みなどの症状が出てからでは手遅れになる前に、問題の芽を早期に発見し対処することが、ご自身の歯を守る上で非常に重要です。
検診では、セルフケアでは除去できない細菌の膜(バイオフィルム)を専門的にクリーニングし、清潔な口内環境を維持します。
また、お使いのマウスピースが現在の噛み合わせに合っているかのチェックも行いますので、ご来院の際は忘れずにお持ちください。
スポーツで歯がボロボロになる前に、日々のケアが重要です
スポーツに打ち込む方の歯は、ご自身が思う以上に、酸蝕症や強い食いしばり、不意の外傷といった多くのリスクにさらされています。
これらのトラブルは、放置すればパフォーマンスの低下にも繋がりかねません。
しかし、リスクは日々の適切なケアと、歯科医院で作製するオーダーメイドのマウスガードで効果的に防ぐことが可能です。
大切な歯を失ってから後悔しないために、「予防」こそが何よりも重要です。
当院では、一人ひとりのお口の状態や競技に合わせた最適なマウスガードをご提案しております。
ご自身の歯とスポーツライフを守るために、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
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おきた歯科小児歯科クリニック
日本スポーツ歯科医学会認定医在籍
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