「詰め物治療」は多くの方が一度は経験するものですが、実際の治療の内容や詳細については意外と知られておりません。
詰め物治療といっても、様々な詰め物の種類や手法があり、それぞれの特徴やメリットが存在します。
この記事では、詰め物治療の流れや素材の種類などを詳しく解説していきます。
ぜひ最後までお読みいただき、自分に合った詰め物治療を選べるように、正しい知識を身に着けましょう!
Contents
詰め物(インレー)の基本的な概要と目的の解説
“詰め物”という言葉は聞いたことがあるかもしれませんが、”インレー”という言葉をご存知でしょうか?
インレーは特定の詰め物の形態を指し、歯に生じた虫歯の穴や損傷を修復するための方法の一つです。
特に大きな虫歯治療後の歯の補強や、欠けた歯の修復に適しており、詰め物としては比較的大きな範囲をカバーできるのが特徴です。
インレーの主な目的としては、以下の3点が挙げられます。
- 歯の強度回復:虫歯などで大きく欠けた歯の部分を補完し、噛む力を分散させることで、歯全体の強度を回復させます。
- 長期的な保護:適切にフィットしたインレーは、新たな虫歯の発生を防ぐバリアの役割を果たします。
- 見た目の改善:金属製ではないセラミックなどの材料は、天然の歯とほぼ同じ色調を持つため自然な見た目となります。
インレー治療により、食事や会話、日常生活の中での不便を感じることなく、安心して過ごせるようになります。
患者さんの歯の状態や理想形に合わせて、最適なインレー治療を行うことが大切です。
詰め物(インレー)の種類とメリット・デメリットについて
詰め物は素材によって特徴が異なります。
いくつかの異なるタイプのインレーについて、それぞれの特徴、メリット、デメリットを詳しく見ていきましょう。
①メタルインレー
【特徴】:金属製のインレーで、通常は金、銀、または他の金属合金で作られています。
金属の強度と耐久性を利用して、長期間にわたって歯を保護します。
【メリット】:耐久性が非常に高く、長期間にわたって機能します。
コスト効率が良く、他の多くの詰め物よりも低コストです。
【デメリット】:金属色の外観は、自然な歯の外観を持つ他の材料に比べて、美観に劣ります。
金属アレルギーを持っている人には適していない可能性があります。
②CAD/CAMインレー (ハイブリッドインレー)
【特徴】:コンピュータ支援設計(CAD)およびコンピュータ支援製造(CAM)技術を使用して精密に作られます。
プラスチックとセラミックの粉を混ぜた素材が使用されます。
【メリット】:歯の色に似た白色であり、メタルインレーと比べて美観が良いです。
金属アレルギーのリスクがありません。
2022年4月から保険が適用されるようになり、患者さんの治療費の負担が軽減されました。(※保険適応には一部条件があります。)
【デメリット】:咬み合わせが強い人や歯ぎしりをする人には向かない可能性があります。
プラスチックが汚れを吸収しやすく、長期間の耐久性が低いです。
③ジルコニアインレー
【特徴】:ジルコニアは非常に強く、耐摩耗性に優れており、天然の歯に非常に似た外観を提供します。
高い生物学的適合性を持っており、金属アレルギーのリスクがありません。
【メリット】:非常に高い耐久性を持つため、奥歯など力がかかる部分に適しています。
比較的自然な外観を持っており、美観が良いです。
【デメリット】:製造コストが高く、他の材料に比べて製作に時間がかかることがあります。
ジルコニアインレーは保険適応となっておらず、自費診療となります。
④e-maxインレー
【特徴】:e-maxは高品質のセラミック材料で、美しい外観と優れた耐久性を提供します。
高い透明度と自然な外観、良好な適合性と耐久性を提供します。
【メリット】:天然の歯と同等の強度を持ち、天然歯に近い摩耗性を持っています。
ジルコニアインレーよりも自然な色調を再現でき、透明感があります。
【デメリット】:ジルコニアインレーよりも強度が低いため、前歯などの審美性の高い歯に適しています。
コストが高く、製作には技術と時間が必要です。
e-maxインレーは保険適応となっておらず、自費診療となります。
これらの詰め物はそれぞれに利点と欠点があり、選択は患者さんのライフスタイル、予算、治療の目的などに応じて行われます。
見た目・耐久性・コストについて十分にご理解いただいた上で、歯科医と相談しながら適切な素材を選ぶことが大切です。
詰め物(インレー)治療の流れ?
詰め物治療を正しい手順で実行することで、長持ちする詰め物と健康な口腔環境が保たれます。
当院で実際に実施している詰め物治療の具体的な手順について詳しく見ていきましょう。
- 診断と計画:初めに歯科医師は、X線検査や口腔内検査を行い、詰め物治療が必要かどうか判断します。
- 治療プランの確認: 患者さんと詳細な治療計画を話し合い、治療の範囲、費用、期間などについて合意を取ります。
- 麻酔:治療部位の痛みを緩和するため、局所麻酔を行います。
- 虫歯の除去:虫歯の部分を慎重に取り除きます。健康な歯の部分はできるだけ保持します。
- 歯の清掃と形成:取り除いた後、詰め物を正確にフィットさせる形に歯を形成します。
- 型どりと仮の詰め物:形を整えた後は、型どりを精密に行い、仮の詰め物をして終了となります。
- 研磨と調整:詰め物が完成した後、歯科医師は患者の噛み合わせを確認し、必要に応じて詰め物の形や高さを調整します。そして、詰め物を滑らかに研磨することで、快適な噛み合わせを実現します。
- セット: 調整・研磨が終わると、レジンセメントという接着剤を用いて歯に接着します。
- アフターケア:治療後のケア指導や、定期的な検診の提案が行われます。適切なアフターケアを行うことで、詰め物の持続性や口腔内の健康を維持することができます。
詰め物治療の成果を保つためにはアフターケアが重要となりますので、日々のブラッシングやフロスを適切に行うことで詰め物の状態を保つことができます。
詰め物(インレー)の再治療の原因と予防
保険が適応でき耐久性があることから、メタルインレーやCAD/CAMインレー (ハイブリッドインレー)が広く使用されている一方で、時には再治療が必要となるケースも存在します。
再治療が必要になる主な原因として、次のような状況があります。
- 欠けや割れ: 極端な力によって欠けたり割れたりすることがあります。
- 再発虫歯: 既存の詰め物(インレー)の周囲に新たな虫歯が発生した場合、再治療が必要となります。
- 金属アレルギー: 銀歯の場合、稀にですが、金属アレルギーの反応が後から出る場合があります。
- 緩みや浮き: 一定期間使用した後、銀歯が緩んだり、浮いたりすることがあります。
このような状況になると、気づかないうちに虫歯が進行してしまうことがあります。
これは、適切なケアを行うことで、詰め物の保つことができます。
- 定期検診: 定期的に歯医者で詰め物の状況をチェックすることで、問題が早期に発見される可能性が高まります。
- 正確な口腔ケア: 日々のブラッシングとフロスを適切に行うことで、詰め物の周りで虫歯ができるリスクを低減できます。
- 食生活の見直し: 糖分や酸性食品の摂取を控えめにすることで、虫歯のリスクを減らすことができます。
- 装着後のケア: 新しく銀歯を装着した場合、しばらくは硬い食べ物を避け、噛む力を均等に分散させるように心がけましょう。
再治療が必要になると、費用や時間、さらには精神的なストレスもかかってきますので、詰め物治療後のホームケアを行うことで、長持ちする詰め物治療を目指していきましょう。
詰め物(インレー)が取れた場合の対処法
適切なケアをしていても、詰め物が取れてしまい、とっさのことで驚きや不安を感じる方も多いと思います。
そのような緊急時には、次のような行動を取ることが重要となります。
- 詰め物を探して保管する: 取れた詰め物を見つけたら、すぐに安全な場所に保管してください。欠けずにそのままの形で保管できていれば、装着するだけで元にもどる場合があります。
- 診察まで歯をいじらない: 詰め物が取れた部分を歯や舌などで触らないようにしてください。詰め物が外れた歯は弱っているので、衝撃が加わると割れてしまう場合があります。また、硬い食べ物は極力避けるようにしましょう。
- 熱い物や冷たい物を食べない: 詰め物が外れた歯は敏感になっており、冷たさや熱さなどの刺激が加わると痛みが出る場合があります。治療を受けるまではできるだけ刺激的な食べ物は控えましょう。
- 歯磨きを行う: 詰め物が外れた箇所は虫歯になりやすいため、治療するまでに丁寧な歯磨きを心がけましょう。
- 直ちに歯医者に連絡: できるだけ早めに歯医者の予約を取り、適切な処置を受けましょう。
詰め物が取れた場合は緊急事態とも言えますので、まずは通っている歯医者へ連絡し、状況を確認した上で適切な治療のすぐに受けましょう。
まとめ
詰め物治療には多くの選択肢と考慮点がありますが、良い治療結果を得るためには口腔環境にあった素材を選ぶことが大切です。
当院では、一人ひとりの患者さんの状態に合わせて、最適な詰め物材料を選び、患者さんの要望にお答えできるような治療のご提案を行います。
皆様の健康と美しい笑顔のために、スタッフ一同、全力でサポートいたします。
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